01 — Cheese
チーズ工房
富士山麓のミルクから、モッツァレラやブッラータ、じっくり熟成させたブルーチーズまで。一日100リットルの鍋で、ひとつひとつ手づくりしています。
About molq
富士山を望む山梨・平林で、
二人ではじめたチーズづくりのこと。
この場所から、
面白いことを。
おいしいと感じてもらえた、その一瞬のために。 正解のない手しごとを、毎日すこしずつ重ねています。
東京でエンジニアとして働く二人が、櫛形山のふもとの里山に小さなチーズ工房をはじめたのは、2024年のこと。東京と山梨を行き来しながらのスタートでした。
もともと心惹かれていたのは、発酵の世界。なかでもブルーチーズは、酵母、乳酸菌、そしてカビ——三つの力でゆっくりと熟成する、唯一無二の発酵食品でした。
チーズづくりは、はじめてでした。ただ、菌を扱う仕事は、ずっとしてきました。温度や時間、菌のはたらきをひとつずつ確かめ、試作を重ねながら、すこしずつ「おいしい」に近づけていく。その手探りの時間こそが、わたしたちにとっての「表現」でした。だれかの心が、ほんの少しほどけるような味を探して。
富士山麓のミルクを、一日100リットルの鍋でゆっくりと。急がず、ひとつひとつ、小さな製造を続けています。
The Place
かつてこの集落に、編み物の小さな工房がありました。細い山道しかなかった時代、麓まで働きに出るのは大変で——前の持ち主は、集落の人たちがここで働き、暮らしを支えられるようにと、この工房を建てたと聞いています。
取り壊しが検討されていたその建物を譲り受け、二年半をかけて、壁も床も自分たちの手で改修しました。工房にしたいと伝えたとき、前の持ち主は静かにエールを送ってくださり、ご家族との交流はいまも続いています。編むことから、チーズを醸すことへ。この場所が集落に仕事を生んできたことは、かたちを変えて続いています。
物語「編む人から、醸す人へ」を読むWhy Cheese
ひとりは、学生のころから微生物を研究していました。水をきれいにする菌の働きを調べ、博士まで進み、そのまま同じ技術を扱う会社へ。全国の現場をまわり、実験を行う日々を何年も続けました。
大学時代から実用化を見てみたかった技術。それに一区切りがついたあと、なにかが切れたように、力が入らなくなりました。
水をきれいにする仕事は、できてあたりまえの仕事です。褒められることは、ほとんどありません。いつからか、なにかをつくる側に行きたいと思うようになっていました。
家では、趣味で発酵食品をつくっていました。お酒にも興味がありましたが、許可の壁が高く、すでに多くの人がやっている。そんなとき、動画で偶然、ブルーチーズがつくられる様子を見ました。
面白い、と思いました。その日から、自宅で研究がはじまります。
もうひとりは、同じ会社で工事と設計にいました。ほとんどを出張で過ごす日々に区切りをつけて、先に会社を出ていました。独立したいと思いながら、なにをやるかを探していたところでした。
共通の知人を介して、二人は出会います。
僕が工房をつくるので、チーズを商品にしましょう
建物をつくれる人と、菌を扱える人。それで、話が動きはじめました。
The Place
土地が手に入ること。牛乳が近いこと。魅力のある場所であること。その三つを条件に、東京や神奈川を探してまわりました。なかなか見つかりませんでした。
知人に紹介されて、平林に来ました。
条件のうち、ひとつは満たしていません。ここに牧場はなく、ミルクは富士山麓から運んでいます。それでも、この景色を見た瞬間に、決めました。
東京で張りつめていたものが、ここでほどけたのを、いまでも覚えています。
大きな組織のなかにいると、いまの専門から離れられないと、いつのまにか思い込んでしまいます。私たちも、そうでした。
型から一歩だけ出てみたら、思っていたより自由でした。
ここに来た人が、チーズを食べて、富士山を眺めて、なにかを持ち帰ってくれたら。
チーズのつくり方を見るWhat we do
01 — Cheese
富士山麓のミルクから、モッツァレラやブッラータ、じっくり熟成させたブルーチーズまで。一日100リットルの鍋で、ひとつひとつ手づくりしています。
02 — Cafe
富士山を望む20席のカフェ。週末だけ、できたてのチーズと山梨の食材を合わせた一皿を、絶景の特等席で。
03 — Stay
古民家を改修した、里山の小さな宿。流れるゆっくりとした時間そのものを味わう滞在を、近く始める予定です。
The Name
molq(モルク)は、チーズの型枠 mold から生まれた造語です。
最後の q は、question の q。
いま自分がはまっている型、当たり前だと思っていること。それをもう一度問い直してみる。その小さな問いが、人生をすこし面白くしてくれると信じています。
Healing in Fuji Valley
ひとりの実家は、徳島です。近くに神山という町があります。子どものころ、よく遊びに行きました。きれいな川のほかには何もない、どこにでもある田舎でした。
その町に、少しずつ人が移り住むようになります。いつのまにか、地域再生のお手本と呼ばれるようになりました。隣の上勝もそうです。東京で力が入らなくなっていたころ、故郷のほうが面白くなっていく。その変化を、ずっと近くで見ていました。
一度、五日間かけて訪ねました。関わってきた人たちから直接話を聞き、何が起きたのかを、あらためて学ぶためです。
何もない場所が、変わることがある。それを、知っています。
真正面に望む富士山、棚田、流れるゆっくりとした時間。ここは、自分自身を見つめ直すのにふさわしい場所です。チーズを入口に、多くの人がこの里山を訪れ、人と、そして自分自身と再会する。それが、molq の思い描く風景です。
Visit
〒400-0514
山梨県南巨摩郡富士川町平林1929
カフェ 金 11:00–15:00(14:00 L.O.) 土・日 11:00–16:00(15:00 L.O.)
※最新の営業日は Instagram でご確認ください。